ヨハニログ

ヨハニ少年へ③~私は何を追いかけていたのだろう~

第1章 私は、もっとできる人になりたかった

社会人になった私は、仕事を頑張ることが楽しくなっていました。

仕事を覚える。

結果を出す。

誰かに認めてもらう。

そして、また頑張る。

そんなことを繰り返していました。

もちろん、仕事ですから大変なこともありました。

思うようにいかないこともあった。

失敗することもあった。

それでも、頑張った分だけ何かが返ってくる感覚がありました。

学生時代には、人生の方向が分からず悩んでいた私が、社会人になると、

「もっとやってみよう」

「もっとできるようになりたい」

と思うようになっていました。

今思えば、ずいぶん単純です(笑)。

褒めてもらえる。

嬉しい。

じゃあ、もっと頑張ろう。

そんな感じだったのかもしれません。

でも、それは決して嫌なことではありませんでした。

むしろ、楽しかった。

少しずつできることが増えていく。

周りから認めてもらえる。

自分の存在を、仕事を通して実感できる。

私は、そうやって前へ進んでいきました。

第2章 「かっこいい」というもの

そんな頃の私は、少しずつ、

「かっこいい人になりたい」

という気持ちも持っていたように思います。

ただ、今の私が考える「かっこいい」とは、少し違います。

若い頃の私は、周りとの比較をかなり意識していました。

「あの人より、こうなりたい」

「こんなふうに見られたい」

「こういう人だと思われたい」

もちろん、それがすべてだったわけではありません。

自分なりに、

「こういう人間になりたい」

という思いもありました。

でも、そこにはやはり、

「周りから見て、かっこいい自分」

というものがあったのだと思います。

仕事ができる。

頼りになる。

しっかりしている。

自分の考えを持っている。

そういう人間に見られたい。

そして、そういう自分でありたい。

そんな気持ちがありました。

でも、今振り返ってみると、それだけではなかったようにも思います。

私は「かっこいい」と感じたものを、ただ眺めていただけではありませんでした。

「こういう人になりたい」

「こういうことをやってみたい」

そう思ったら、実際にやってみる。

そんなところも、私にはありました。

今思えば、それもまた、当時の私を動かしていたものだったのだと思います。

「かっこいい」と感じること。

そして、それを目指してみること。

それ自体が、私にとって一つの原動力だったのかもしれません。

第3章 誰かに分かってほしかった

そして、今になってもう一つ思うことがあります。

私は、ずいぶん長い間、

「誰かに説明しながら生きていた」

ような気がするのです。

なぜ自分はこうするのか。

なぜこう考えるのか。

なぜこの道を選んだのか。

自分はこういう人間なんだ。

そんなことを、誰かに分かってもらおうとしていた。

それは説明だったのかもしれません。

もしかすると、言い訳だったこともあったのかもしれません。

でも、当時の私は、そんなふうには考えていませんでした。

ただ、

「分かってほしかった」

のだと思います。

自分が頑張っていることを分かってほしい。

自分の考えていることを分かってほしい。

自分が選んだことを認めてほしい。

そして、

「それでいいよ」

と言ってもらいたかった。

今思えば、私は誰かに自分の人生を説明することで、自分自身を納得させようとしていた部分もあったのかもしれません。

でも、それも当時の私にとっては、必要なことだったのでしょう。

第4章 いつの間にか、忘れていた

そんなふうに生きていた私ですが、いつの頃からか、少しずつ変わっていきました。

というより。

「かっこいい」という言葉そのものを、忘れていた。

そんな感覚があります。

若い頃には、

「かっこいい人になりたい」

と思っていた。

「こういうことをやってみたい」

と思ったことを、実際にやってみることもあった。

でも、いつの間にか、そんなことを考えなくなっていました。

仕事をする。

生活する。

いろいろなことを抱える。

目の前のことに一つずつ対応する。

そうしているうちに、

「かっこいい」

という言葉が、自分の中からすっぽり抜け落ちていたような気がします。

なぜ忘れていたのか。

今の私にも、はっきりとは分かりません。

生きていくことに一生懸命だったのかもしれない。

それとも、大人になるということは、そういうものなのかもしれない。

あるいは、単純に時間が流れていっただけなのかもしれません。

ただ、一つだけ確かなことがあります。

私は、若い頃にあれほど追いかけていた「かっこいい」を、いつの間にか忘れていたのです。

今回、気づいたこと

40代になって、自分のこれまでの人生を振り返るようになりました。

すると、不思議なことに、昔の自分のことを少しずつ思い出すようになりました。

その中で、ふと、

「そういえば、昔の俺って、かっこいいっていうものを結構気にしていたな」

と思ったのです。

そして、もう一つ思いました。

「じゃあ、今の俺にとっての“かっこいい”って何なんだろう?」

若い頃と同じものなのだろうか。

それとも、少し変わったのだろうか。

考えてみると、どうやら少し違うようです。

でも、若い頃の「かっこいい」が間違っていたわけでもありません。

あの頃は、あの頃なりに、それを追いかけていた。

それによって頑張れたことも、たくさんありました。

だから、昔の自分を否定する必要なんてない。

ただ、40代になった今だからこそ、もう一度「かっこいい」を考えてみてもいいのではないか。

そんなふうに思うようになりました。

今度は、誰かに見せるためだけではなく。

自分自身が、

「これ、なんかいいな」

と思えるものを。

そして、

「こういう自分、結構かっこいいじゃん」

と思えるものを。

もう一度、追いかけてみてもいいのではないか。

まだ、この時の私は、その答えをはっきりとは分かっていませんでした。

でも。

どうやら私は、もう一度「かっこいい」というものを考え始めたようです。

そして、その「かっこいい」は、昔とは少し違うものになっていました。

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